犬日記2000 夏 その1
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8月某日 犬は人のことばがわかる、とよくいう。 でも飼い主のことばなら、耳で聞く前に、 飼い主が嬉しければ、なんだかよくわからないけれど 飼い主が好きな人は、だいじょうぶ。嫌いな人は、こわい。 名前を呼ばれれば、たまに無視するときもあるけれど、 さっき、気持ちよく昼寝をしていたら、 床にきれいな猫の本と、ぐしゃぐしゃになったちり紙がころがっていた。 見上げると、
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7月某日 買い物好きである。 毎日行くのはパン屋である。パン屋の名前はわからない。 朝の散歩のときは店のシャッターが半分開いていて、 夕方の散歩のときに、おじさんのパンを買う。 定休日以外でもシャッターが閉まっていることがある。 次の日もまた、パンのウィンドー・ケースの前できちんと立ち止まる。 だから毎日パン屋に寄る。
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7月某日 風が強い。踏切の警報機の音が、遠くから風に乗って聞こえてくる。 雨が降っても、風が吹いても、雷が鳴っても、一日二回かならず散歩に出る。 雨はあまり気にならない。獣医さんも驚くが、雷はぜんぜん気にならない。 倒れた自転車や立て看板が行く手を阻んでいる。 いちばん嫌なのはビニール袋だ。 夕立にあったとき、あのビニール袋を頭にかぶったおばさんがいた。 風の強い日は、糞をしたら大急ぎで家に帰る。
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7月某日 すこし寝坊をしただけで、道は人も車も急に多くなる。 なんとなく気持ちが急いで、足が速くなる。 すれ違う犬の顔ぶれも、いつもとかわる。 そういえば。 おじいさんたちは、 あっ。でっかいテリアとおじいさんがいた。 ちょっとだけ近寄ってみた。 挨拶もお喋りもしないけれど、なんか安心して家に帰った。
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7月某日 梅雨明けの、きれいに晴れた土曜日だった。 まだ朝の六時前で、新聞配達の自転車のブレーキ音や、 いつもの朝より犬がたくさんいた。ミミズもうようよいた。 いつもの朝より糞がたくさんでた。 いつもの散歩コースを跳ねながら走った。 いつもはまだ寝ている水色の家の柴犬も、もう散歩に行っていなかった。 運動場の角を曲がると、中年の男の人が二人、 二匹のビーグル犬は座り込んで、おたがいに別の方向を見ていた。 朝飯を一瞬で平らげた。
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